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フェアルーン2の作り方 #8



〓〓〓 何でもアリにする

『フェアルーン2』はレトロテイストと言っておきながらグラデや加算、アルファブレンド、拡大縮小などをやっています。もし、これらの処理をファミコン縛りっぽく見えるでゲームの中でいきなり使ったりすると、多くの人が「これ、このゲームに合ってないんじゃない?」思うかもしれません。では、これらの処理を使っても違和感が無いようにするためにはどうしたらいいのか?



スタート直後から常に画面に差し込む斜めの日差し!

もう最初から「このゲームはレトロテイストだけど何でもアリだよ!」と主張しておくことで、何でもアリにしています。こんな感じで常に画面に表示されている日差しに比べれば、マップ上のグラデや加算なんて微々たるものです・・・よね?



〓〓〓 混在するスケール

『フェアルーン』のマップ上にあるオブジェクトのスケールはバラバラです。特に木は小さくて、他のオブジェクトに合わせるのなら現状の4倍のスケールで描いておかないといけません。では、なぜこうなってしまったのかというと、実は最初に作ったFlash版の画面が小さく、大量に表示される木を大きく描くと画面を圧迫してしまうため、記号的に16x16ドットで描いた物がそのまま受け継がれているという、わりと単純な理由です。

Flash版『フェアルーン』





〓〓〓 地上はダンジョン

『2』のそれぞれの世界の地上マップですが、地上と言っておきながら構造はダンジョンのようになっています。これは、個人的にダンジョンは好きだけど洞窟や建物内を長時間うろうろするのはあまり好きではないため「じゃあ、ダンジョンのような構造の地上にしよう!」というコンセプトで作ったからです。そのため、歩ける所を抜き出してみると、地上なのにダンジョンのような複雑な形になっています。



逆に、実際のダンジョンである地下は、そんなに複雑にはなっていません。



開放的な地上をダンジョン化し閉鎖的な地下をあまり複雑にしないことで、ゲームとして窮屈な印象にならないようにしています。



(続く)



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フェアルーン2の作り方 #7



〓〓〓 マップチップのヒミツ

マップチップというのはマップを構成する最小単位で、『フェアルーン2』では16x16ドットで描かれています。




〓〓〓 オブジェクトは黒でフチ取る

3DSの残像対策で黒フチが使えなかったため『2』ではオブジェクトの色を濃くした物を使っていますが、便宜上ここでは「黒フチ=濃い色」と思って読んで下さい。

『2』では下図のようにほとんどのオブジェクトに黒フチが付いています。これは「当たり判定がある」というのを視覚的に分かるようにするためで、通り抜けられないオブジェクトは全て地面から生えている感じ(地面に接している辺は黒フチを付けない)で黒フチが付いています。



逆に「通り抜けられる木」は地面に接していないので下図のように地面から切り離し、浮いてる感じになっています。



しかし、上記のルールで黒フチを付けていると作りにくいオブジェクトがあります。下の図1のように横長のオブジェクトがあるのですが、これの縦バージョンは図2のようになり、柱と同じ背面を通り抜けられるような輪郭になってしまいます。そんな訳でこの縦バージョンのオブジェクトはボツになりました。





〓〓〓 できるだけ描きこまない

『フェアルーン』のマップチップはディテールを描き込まないようにしています。これは僕の好みというのもあるのですが、作業工数を減らすという意味も多分に有ります。

では、緑1色だけの草原のマップチップにディティールを描き込まず、どうやって「これは草原です」という情報を与えるかというと、下図のように緑1色の平面にパラパラと草や花のマップチップを置いてあげます。



すると、この緑1色のマップチップは「見た目は緑1色だけど芝生みたいな物」という情報を持ったマップチップになります。

水も同じで、青1色のマップチップにキラキラ光るマップチップを2つ混ぜるだけで「これは水です」という情報を持ったマップチップになります。



そんな感じで『フェアルーン』のマップチップは、作業工数を減らしつつプレイヤーの想像で情報を補ってもらうような作りになっています。



マップ&マップチップに関してはまだいろいろあるので、次回もマップの話になります。



(続く)



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フェアルーン2の作り方 #6



〓〓〓 ドット絵のヒミツ

今回は『フェアルーン2』のドット絵について少し解説してみたいと思います。ツイッターとかを見ていると、最近はフチ無しでパステルなドット絵が主流で、あまり黒フチドット絵を描いてる人を見かけないので需要があるかどうかわかりませんが・・・。



〓〓〓 キャラクターのヒミツ

下図は過去記事『ドランシア - Drancia - 制作日誌その2』で使った物です。



以下、過去記事から一部抜粋。

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2007年にいろいろ迷走して2008年に今の絵柄に辿り着いたみたいです。実はこの頭が大きい絵柄はベビースキーマを取り入れて完成させました。ベビースキーマとは「なぜ赤ちゃんはかわいく見えるのか」を心理学的に分析した物で、ざっくり説明すると以下のような感じらしいです。

・体に対して頭の割合が大きい。
・目、鼻、口が下の方にある。
・上記を満たしていると本能的にかわいく見える。

それプラス、目と目を離すというのもポイントで、とにかくかわいく見えるドット絵を目指して改良。頭が大きい利点は、髪型でキャラを描き分けたり、目や口で表情を作ったりすることができること。そのかわり、体が小さいので服装でキャラを描き分けることは最初から放棄。黒でキャラを縁取っているのは背景に馴染んでしまわないようにするため。ドット絵は使い回す事を前提に描いているので、どんな背景でも使える汎用性は必須。
========

『2』では残像対策で黒フチを暗い紫にしていますが、だいたい今でもこの考え方で作っています。

直接影響を受けた黒フチはファミコンの『ファイナルファンタジー』や、MSX2の『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』『サーク2』などで、学生のころマネしてドットを打っていた記憶があります。MSX版の『ハイドライドII』や『ザナドゥ』なども主人公のみですが良質な黒フチドット絵だったので、当然その辺りの影響も受けています。



〓〓〓 色のヒミツ

これも過去記事から一部抜粋。

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色に関しては昔はくすんだ色を多用していたのですが、最近ではファミコンのパレットをベースに彩度を高めに設定することでレトロさとポップさを確保。モットーは昔から変わらず「ファミコン以上スーファミ未満」。
========

『2』でも同じコンセプトで、ファミコンのカラーパレットを基本とし、それを調整して欲しい色を作っています。その時、ファミコンのカラーパレットと同じぐらいの彩度にすることで、追加した色が沈んでしまわないように気をつけています。

また、色数に関しては特に制限を設けてはいません。仕様上、テクスチャ1枚が256色以内になるようにはしているのですが、8ビットライクだからファミコンみたいに52色中25色まで!とかではないです。同じ8ビットでもMSXだったら16色しか使えませんし、MSX2なら512色中16色が使えます。個人的には特定のハードの再現が目的でないのであれば、色数は気にせず、統一感重視の調整でいいと思っています。もちろんファミコンやMSXで統一するとかも全然有りですし、そういうのも好きです。

下図はファミコンのパレット+フェアルーンのパレットの一部です。





〓〓〓 左向きのヒミツ

『2』のモンスターのテクスチャはこんな感じになっています。



前・後・左・死骸・破片の順に並んでいて、右端の数字はそのモンスターのレベルです。特に仕様書を作っていないため、テクスチャの中に直接モンスターのレベルをメモしてあります。

さて、主人公も含めて、モンスターたちがなぜ左向きしかいないのかというと、16x16ドットの場合、剣を持っている右側よりも盾を持っている左側の方が絵になるからです。右向きのとき、剣を垂直に持たせるとキャラクターの顔が隠れてしまい、かといって水平に持たせるとただでさえ小さい体がわけの分からない事になってしまいます。そこで、動きが分かりやすくて見栄えがいい、盾を持っている左側のみのグラフィックになっているのです。決してメンドクサイからではありません・・・ということにしておいてください。



(続く)



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| ユウラボ | 19:40 | trackbacks(0) |
フェアルーン2の作り方 #5



〓〓〓 実装開始

過去のメールを調べてみると、2015年3月3日に『緑の草原』の地上と地下のマップ、それとプロットをうららワークスさんに送っているので、ここら辺から試験的に実装が始まったみたいです。それ以前は、うららワークスさんは基礎研究やフレームワーク、ツールの整備を主にやっていたように記憶しています。



〓〓〓 残像

実装が始まって真っ先に気になったのがキャラの残像です。3DSは液晶画面なので多少の残像は仕方がないのですが、キャラが動くたびにキャラの周りがジワッとにじみ、キャラの色によっては白いスジのような物が入る始末。ただ、プログラム的には問題無いのでうららワークスさんはあまり気にしていなかったみたいなのですが、僕はものすごく気になってしまい、どうにか解決作は無いかといろいろ考える事にしました。

どうすれば残像が目立たなくなるのか・・・。残像はキャラの黒フチ、特に#000000を使っている周囲に出ているので、応急処置として全グラフィックの黒フチを暗い紫に変更してみました。



結果、狙い通りキャラの残像はほとんど見えなくなったのですが、木や岩などのマップチップに関しては、フチを暗い紫にしてもまだ残像が出ていました。黒フチ大好きな僕なのですが、ここは残像を消すことを最優先とし、今度は全マップチップのオブジェクトのフチをそのオブジェクトで使われている同系色の暗い色に置き換えるという作業をすることに・・・。

あと、フチ以外でどうしても広い面積の黒が使いたい所は、下図では全然違いがわからないと思いますが黒い部分に#050505を使うことで対処しました。



おかげで、完成版ではほとんど残像が目立っていないと思います。



〓〓〓 処理落ち

今回はソフトの容量をできるだけ減らそうという方向で進めていました。SDカードの容量は有限なので、容量不足でダウンロードできなかった・・・というのは避けたいですから。そのため、小さな節約の積み重ねをしていこうと、マップチップもレイヤーに分けて、重ね合わせの組み合わせでバリエーションを出すことにしました。

そんな感じで進めていたある日、うららワークスさんから「処理落ちします」との報告が。実際に処理落ちしたのは背景+床+オブジェクトという感じで複数のマップチップが重なって表示されているエリア。1画面内のマップチップの数が多いので処理が重くなるとのことでした。

この時確かうららワークスさんに「許容範囲だと思うのですが気になります?」みたいなことを聞かれたのですが、ここは残像と同じく「気になります!」と即答。そこで、素材の容量は増えてしまいますが処理を軽くするために床とオブジェクトを合成したマップチップに変更することにしました。残像対策に続いて、またしても全マップチップを修正。しかも今度はマップデータも配置し直しという結果に。これに関しては過去記事(2015.6.29)の『週刊フェアルーン2 |No.6』にチラッと書いていたりします。ちなみに、完成版では処理速度を上げるためにマップの表示方法自体が変わりました。



〓〓〓 ここまでの進捗

だいたいここまでで2015年の7月です。またまた過去記事(2015.7.13)の『週刊フェアルーン2 |No.8』を見てみると、進捗は以下のようでした。

・シナリオ:95%
・テキスト:25%
・マップグラフィック:96%
・キャラクターグラフィック:20%
・その他のグラフィック:40%
・BGM&SE:48%
・プログラム:?%

「シナリオ」っていうのはプロットですね。マップグラフィックと合わせてほぼできていました。テキストは実装してみないと決められない部分もあるので25%でも問題ありません。キャラクターグラフィックは後半のモンスターが残っていただけで、これも実働2〜3日で何とかなるレベル。その他のグラフィック&BGMも、この時点でリリース予定日まで5ヶ月ぐらいあったので全然問題無しでした。

さて、このときツイッターで某M氏が「週刊フェアルーン2、ずーっとプログラムが?%なのがはすっごく気になってる」とおっしゃっていたのですが、リリース日から逆算すると、たぶん30%前後だったのではないかと思われます。



(続く)



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フェアルーン2の作り方 #4



〓〓〓 作る準備

当面の間『2』の開発スタッフは以下の二人です。

プログラム→うららワークスさん
ゲームデザイン・シナリオ・音楽・グラフィック→僕

3DS版『フェアルーン』(以下『1』)は監修のみで、開発はフライハイワークスさんの方でやっもらっていたのですが、『2』は基本的に全部自前です。うららワークスさんも初3DSプログラミング。最初の目的は『1』と同じことができるようにする。それができたら『1』以上のことをする・・・です。そのため『2』の出だしは実験&検証も兼ねて『1』と同じ雰囲気からスタートすることにしました。

とりあえず2014年中は、うららワークスさんにはスマホアプリを作っていてもらい、僕の方はそのスマホアプリの素材作りとかをしながら『2』の企画書やプロット、イメージを固めるためのBGM作りを進めることにしました。

ファイルの日付を見ると、どうやら2014年12月14日からプロットを書き始めたみたいです。



大まかな流れは完成版と同じですが、ちょこちょこ違う箇所があります。この段階では「カナタのキオク」というアイテムは「ホシのキオク」という名前だったのですが、ネットで「ホシのキオク」という単語を検索したら、いろいろ既存の物がでてきたので途中で変えました。このように固有名詞に関しては、基本的にネットで検索して、似たような物があれば変えるようにしています。

と、こんな感じでエンディングまでガーッと書き、何度も見直しながらブラッシュアップしていくという作業を2015年の4月ぐらいまでやっていました。

「この作業に4ヶ月も?」と思うかも知れませんが、プロットにある「C3」とか「D3」とかいう箇所からなんとなく察しがつくように、マップも同時に作っていました。そのマップというのは、紙に描いたラフな物ではなく、実際にゲームに使うマップチップのドットを打ちながら、Tiled Map Editor で実装用のマップデータを作っていたので、荒削りながらも4月の段階でほぼラストまでのマップデータができていました。また、その間にスマホアプリも2本作っているので、わりと効率よく進んでいたのではないかと思います。

マップはだいたいこんなレベルまで作っていました。序盤は『1』から流用できるマップチップが多かったので比較的詰まっています。終盤のマップはスカスカな状態でしたけど・・・。




ちなみに、スマホ版の『1』のときは、上記のような作業と実装を同時にしていたため、オイルを使う謎解きらへんで実装に追いつかれてしまい、分かりにくい謎解きを直せなかったという反省がありました。しかし、今回は先にプロットとマップを最後まで作ってしまってから実装してもらうようにしたため、「作者も分かりにくいのは認識してるけど、もう直せないとこまで実装しちゃってるのでゴメンナサイ・・・!」というのはほとんどありません。それでも分かりにくいというところは、たぶん僕の性格の問題です。



〓〓〓 イメージと世界観

『1』はどうしても『ハイドライド』のイメージが強かったので、いろいろそっちに引っ張られてしまっていたのですが、『2』では『1』の『フェアルーン』らしい部分を、より強調する方向で世界観を調整しました。目指すは『ハイドライド』っぽいゲームではなく『フェアルーン』っぽいゲームです。

具体的には『1』のメタフィクションの部分をもっと強調し、SF的な演出を増量。視覚表現としてマップやイベントに光や粒子のエフェクトを多用して、レトロなのに新しいという雰囲気をアップ。最終的にはプレイヤーが「『フェアルーン』を遊んだ!」と思えるような世界観になっていれば成功です。

まあ、要は僕の頭の中にある物がだだ漏れなだけなのですが。



(続く)



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フェアルーン2の作り方 #3



〓〓〓 新たなファイルを発見

企画草案というPDFファイルを見つけたので日付を確認すると2014年10月6日でした。時系列を整理すると・・・。

・8/23:テキストファイル『フェアルーン2の設定』
・10/6:PDFファイル『企画草案』←NEW!!
・10/31:テキストファイル『フェアルーン2箇条書き』

なんと、僕が企画をまとめ始めたと思っていた10月31日の『フェアルーン2箇条書き』というファイルの前に、ダミー画面や図解が入った企画草案がありました。この企画草案というのはフライハイワークスさんに提出したやつなので、これを作ってから『フェアルーン2箇条書き』を書いていたわけですね、さすが開発期間22ヶ月。記憶があやふやです。

そんな訳で、企画草案の中身を見ていきたいと思います。



〓〓〓 企画草案とダミー画面

■イメージボード



とにかく何かそれっぽい物をでっちあげなくてはと思い作った画像です。近所で撮影した植木の根に、これまた近所で撮影した草を背景に敷いて、主人公のドット絵を合成。仕事が粗いのは時間が無かった証拠です。このイメージボードは下図のようにゲーム内のエントランスに引き継がれています。



ちなみに、企画書に載っていたエントランスのダミー画面はこんな感じでした。




■画面レイアウト



完成版と比べるといろいろ違います。まず、上画面にステータスが並んでいて、レトロPCゲームのようなフレームがありません。これは、フレームで隠れる部分を無くして、視界を広くした方が良いかなと考えていたためなのですが、フェアルーンはゲーム中にあまりステータスを見なくてもいいのと、フレームがあった方がレトロ感が増すということで、ここはレトロ優先でいくことにしました。

下画面は左が全体マップ、右がパッシブスキルの表示になっています。完成版では全体マップが思っていた以上に大きくなってしまったため、パッシブスキルはアイテムウィンドウの奥に収納されました。

■ダミー画面
『2』ではこんなフィールドがあります・・・というのを伝えるためのダミー画面です。この時点ではまだ実装用のマップデータとかは一切無いのでPhotoshopでそれっぽい物を作っています。当然マップチップも揃っていない状態なので、かなり簡素なダミー画面になっています。

スタート地点付近。何となく完成版の面影があります。




白の雪原。氷の床とか、何となくやろうとしている事は分かります。




アイテム画面。画面中央にアイテムが拡大表示される予定だったのですが、マップが見えた方が良いと思い、完成版では拡大表示が無くなりました。あと、下図の完成版にある「Bキャンセル」という表記ですが、マスターアップ直前に無くなりました。





とまあ、こんな感じの企画書でイメージを固めつつ、2014年の年末ぐらいからシナリオや実データの制作に入っていくことになります。


(続く)


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| ユウラボ | 14:58 | trackbacks(0) |
フェアルーン2の作り方 #2



〓〓〓 最初に考えた事

3DS版の『フェアルーン』(以下『1』)はもともとスマホだったので、スマホ前提の作り方になっていましたが、今回は最初から3DSなので、まず以下の4点のことを考えました。

(1)有料
有料ということは、先に対価を払っていただいているので、少なくとも値段分は遊んでもらいたい。できればエンディングまで行ってほしい。そのためには最後のアレ、ラスボスの仕様とバランスをどうするかを考えました。これは『1』のときにもいろいろ考えてはいたのですが、『1』は基本的にスマホ版からの完全移植ということだったので、救済措置は入ったものの、ほぼスマホ版そのままの仕様になっていました。

(2)続編
続編という事は前作での不満点が具体的に見えているということです。これに関しては僕の思っていた不満点(スマホ向けにわざと入れた物もあります)と、ネットの評価を照らし合わせて、重なる部分は基本的に直す方向で、それ以外は気になったら直すというようにしました。

(3)3DS
今回は3DS専用ということだったので、まず最初に3DSならではの謎解きを考えようと思いました。そこで思いついたのが、最後のアレを入力する仕様と、マップのめくれ方でアレを表現するネタです。

(4)2画面
3DSなので画面が上下に2つあります。『1』では最後の仕掛けでタッチパネルを使うという性質上、メイン画面が下になってしまいましたが、『2』では上がメインで下がマップという無難な仕様にすることにしました。メイン画面は大きい方がいいですもんね。



〓〓〓 ボリュームを考える

『1』でもそうだったのですが、まずはリソースの数を決めました。そこに入りきらないヤツは切捨てることで物理的なゴールを作り、「永遠にゲーム開発が終わらない」という状況にならないようにするためです。まあ、それでも22ヶ月もかかってしまったんですけど・・・。

ただ、その22ヶ月の間に『ドランシア』を含め、スマホアプリを7本リリースしているので、実務はもっと短いです。


スキップモアのスマホアプリはこちら

で、ボリュームの話に戻りますと、フライハイワークスさんからのお題として『1』の2倍というのがありました。『1』のマップが約100画面だったので、『2』は200画面に。1つのエリアは5x5の25画面なので、地上25画面+地下25画面=50画面が4つあれば200画面が埋まります。ということで、現在の4つの階層という構造が決まりました。厳密にはそこに塔とか他のエリアが加わるので、最終的には200画面以上になっています。既に最初に書いた「そこに入りきらないヤツは切捨てる」は破られていますね。そもそも1画面の大きさが『1』より大きいので、2倍どころの広さではありませんし・・・。次にゲームを作る時には気をつけます。



次はモンスターの数です。『フェアルーン』は主人公のレベルに各モンスターが対応しているので、単純に『1』の2倍にするとレベルが50、レベルに対応するモンスターが50になり、バランスがとりにくくなってしまいます。ですので主人公のMAXレベルをちょっとだけ増やし30にし、レベルに対応するモンスターを30種類に。そこにレベリングに関係無いモンスター(ナイトとかゴーレム)を追加することでボリュームアップを計りました。

アイテムは・・・。これは成り行きでいいかなーと。ただ、開発当初、アイテムウィンドウの枠が28個だったので、同時に持てる数がそれ以上にならないようには気をつけました。

BGMは『1』が短いものも合わせて13曲だったので、20曲ぐらいあれば十分だろうと。


ボリューム的にこれぐらいであれば、ちょっとプラスαがあっても6ヶ月〜9ヶ月でなんとかなるはずだと思っていたのですが・・・。


(続く)


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| ユウラボ | 15:59 | trackbacks(0) |
フェアルーン2の作り方 #1



〓〓〓 はじめに

『フェアルーン2』がリリースされてしばらく経ったので、そろそろ制作過程を公開していこうかと思います。ただ、書けること、書けないこと、書かない方がいいこと、の3つがあり、この『フェアルーン2の作り方』では主に「書けること」を中心に書いていく予定です。「書けないこと」と「書かない方がいいこと」は、僕に直接会った時にでもこっそり聞いてもらえれば(笑)。

ちなみにこの『フェアルーン2の作り方』は、ハイドライドの作者である内藤時浩さんの『ハイドライド3はこうして創られた』のオマージュ的な物です。

まあ、あそこまでフランクには書けないんですけど。



ほぼノンフィクションですが、多少フィクションが混ざっているかもしれませんので、全部鵜呑みにしない方向でお願いします。



〓〓〓 制作までの経緯

フライハイワークスさんから「フェアルーン2を作りませんか?」と、最初に打診されたのは確か3DS版の『フェアルーン』(以下『1』)がリリースされる前でした。僕としてはまだ『1』が3DSで売れるかどうかも分からないのにもう『2』の話とかちょっと半信半疑だったので、「考えておきます。」的な返事でその場をしのいだように記憶しています。

結果、3DS版の『1』はそこそこ好評をいただき、これなら『2』を作ってもいいかなという空気になったので、改めて企画を練る事にしました。フライハイワークスさんからのお題は「3DS専用、ボリュームは『1』の2倍、あとは自由に!」でした。

フォルダを見ると企画をまとめ始めたのは2014年の10月31日。『フェアルーン2箇条書き』というテキストファイルが見つかりました。今から20ヶ月も前ですね。当初は『1』の2倍のボリュームということだったので単純に6〜9ヶ月ぐらいで作れるだろうと踏んでいたので、遅くても2015年の秋にはリリースできるかなーと、かなーと、かなーと・・・。

で、今フォルダをあさっていたら2014年8月23日付の『フェアルーン2設定』というファイルが見つかりました・・・。ステージ構成とかは今の『2』とほぼ同じですが、ラスボスの設定とかが違う感じです。

こんなの。




というわけで、僕の『フェアルーン2』の開発期間はどうやら22ヶ月みたいです。

どんだけ長い間作ってたんだ・・・!



(続く)



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